今津のオヤジのつぶやき

東北関東大震災がもたらした被害はあまりにも甚大

2011年03月19日

 3月11日に発生した未曾有の東北関東大震災から1週間が経過した。東北から関東にかけてM9.0という巨大地震と巨大津波が海岸線に押し寄せ、海沿いの街を一瞬のうちに壊滅させ、想像を絶する甚大な被害をもたらした。死者・行方不明者は1万6000人以上、難を逃れ避難所に避難している被災者が40万人を超える戦後最悪の事態になっており、行方不明者の捜索も長期化が予想される。
 地震と津波の被害はそれだけではない。福島第一原子力発電所で重大事故が発生し、放射性物質漏れと電力不足の危機にあり、日本の国策として推進してきた原子力・原子力発電行政にも大打撃を与え、今後の日本経済と国民生活に深刻な影響を及ぼそうとしている。

          震災によって、日本のエネルギーと食料事情の脆弱さを露呈

 震災後、株式市場で株価が暴落、日本だけでなく世界各地の市場でも軒並み株価が下がり、世界経済の先行きに不安が広がっている。
 また、すでに震災前から北アフリカのチュニジア、エジプトそして、中東の石油産油国のリビアで、相次ぎ政変や政情不安が高まっているが、同時に、昨年来続いているロシア、オーストラリアでの干ばつ、洪水、南米ブラジルを襲った豪雨と洪水など異常気象により穀物の生産が大幅に減少、加えて中国、インドなど新興国で石油と穀物の需要が高まる中、原油や穀物価格が急騰を続けている。
 そして、大震災後、被災地を中心に石油と食料が逼迫する中、需要が一気に高まり、先行きと品薄への不安から、庶民の間で無用の買いだめ、買い急ぎも相まって、ガソリンをはじめ石油製品と食料品、水不足、加えて電力不足が被災地を中心に深刻化し、日本全体に先行きに対する不安感が広がり始めている。

 石油と電気に依存した生活にどっぷり浸かってきた日本社会。しかも、この国民生活の根幹である石油は、ほぼ100%、食料も60%を輸入に頼る日本。現在日本のエネルギーと食料に対する脆弱さと危うさを、この大震災によってはからずも露呈してしまったように思う。

          日本経済の先行き不安と、深刻な財政状況

 今後の日本経済の先行き不安もさることながら、日本の深刻な財政状況についても極めて大きな不安材料だ。
 平成23年度予算案は、震災前の国会で成立の見通しが立たずに立ち往生、未曾有の大震災に見舞われ成立のメドすら立っていない。予算規模は史上最高、今回も赤字国債の乱発で賄う内容だが、大震災の甚大な影響で企業の収益が悪化し、税収など歳入見込みが大幅に狂うことは確実の情勢だ。
 今後、最も危惧する問題は、日本経済の先行き不安と膨大な震災復興財源の逼迫による「国家財政の破綻」が現実になることへの懸念だ。この度の大震災は日本にとって、まさに、国家的危機であり、日本の差し迫った重要課題である財政再建にとっても致命傷になるかもしれない。

 未曾有の大震災と原発事故をきっかけにして、株価が暴落しているが、4月以降の実体経済を占うもので、日本経済が落ち込むことは確実の情勢だ。
 しかし、株式市場の暴落の一方で、ドル売り円買いが進み、一時1ドル76円台まで円が急騰。異常なまでの「円高」水準になっているが、これは、「円が安定した通貨だから」とか「円が信頼されているから」円が買われているというようなものでは決してない。これまでも、一時避難先として、あるいは投機目的として円が買われ円高が続いていたが、今回起きている急速な「円高・ドル安」は事情がまったく違うのだ。

          許せないヘッジファンドなど「投機集団」の“マネーゲーム”

 ドルを売り、円を買っているのは他でもない、生保、損保などの保険会社と金融機関などの機関投資家だ。また、この機に乗じてヘッジファンドなど投機筋によるドル売り円買いが円高に拍車をかけている。
生保、損保、銀行などがドル建て資産を売却し、円買いをしているのにはそれなりの理由がある。それは、震災と原発事故によって、保険金支払い等補償や復興資金で巨額の円資金が必要になってくると言われているからだ。
 しかし、ヘッジファンドと呼ばれる投機集団の目的は、投機による“マネーゲーム”によって巨額の利益を得ることだ。彼らは利益を得るためには国を一つ潰すくらいなんとも思わない。彼らの手法はいたって単純で、巨額の資金を動かし、今回のように円を買う一方で、ドルを売り、ドルが1ドル82円から76円の底値になるタイミングでドルを買い戻すのだ。円を買いまくり円が上がり異常な円高になると、日本政府をはじめ、異常な円高に歯止めを掛けるため、G7各国が協調して市場介入する。何10兆円規模で円が売られドルが買われる。投機集団はそうなることを見越して円買いドル売りを仕掛けているのだ。協調介入で81円まで値を戻したタイミングで円を売り、差引5円の儲けというカラクリだ。
 大震災や原発事故に乗じてマネーゲームで利益を得る投機集団の行為はけっして許されるべきものではない。
 こうした投機集団が世界中のいわゆる「市場」で、株や債券、為替、先物取引で巨額の資金を動かし暗躍していることは周知の事実だが、未曾有の災害に見舞われ、国家的危機という事態にある我が国をターゲットしているのであればまさに憂慮すべき事態と思う。我々一般国民、ましてや、被災された人たちにとっては、まったく別世界の無関係の話であるようだが、けっして無関係ではない。むしろ、市場の動きに経済も国民生活も大いに左右されているのだ。

          「円高」が一転「円安・日本売り」で「国債」が暴落すれば一大事

 今後、円高が一転して円売り「円安」に向かうようなことになれば、日本経済と国民生活に与える影響は極めて大きいと言わなければならない。
 石油や食料を輸入に頼っている日本は、円安になればドル建てなど外貨決済の輸入価格が上がるからだ。
 現在被災地を中心に不足している、ガソリンや灯油、食料品など輸入関連商品の価格が日本全体で上昇することになる。
 さらに、東電の原発事故により電力供給がストップすることで、今後電力不足が生じ、石油などによって火力発電所をフル稼働させるしかなくなるが、石油の需要が一層高まり、石油関連企業への影響や石油関連商品の値上がりにつながることになり、当然、電気料金にも跳ね返ることになるのだ。

 株、債券、円売りなど「日本売り」が始まれば、異常に膨れ上がった「国債」が暴落しかねない。国が乱発してきたいわゆる赤字国債は、2011年度末で1000兆円を突破することは確実で、まさに、日本の国家財政は危機的状況なのである。国際通貨基金(IMF)も日本に残された財政立て直しの猶予期間は、後2、3年と見ているのだ。
 問題はこの国債をゆうちょ銀行を筆頭に、その大半を日本の金融機関が保有していることだ。国民が銀行などに預けている預金の大半は赤字国債に替っているということになる。金融機関がこれ以上国債を買い上げることができなるだけでなく、保有している国債を手放さざるをえない状況になれば、国の財政は破綻の危機に陥ることになる。そのとき日銀は金融機関が放出する国債を買い取るしかなく、膨大な日本銀行券を発行せざるをえなくなり、もっとも恐れるハイパーインフレーション引き起こす事態に陥るのではないかと心から危惧する。

          “明日は我が身”と心得なければならない!

 今回の大震災と原発事故は、けっしてよそ事ではない。
 地震やそれに伴う津波は、天変地異でけっして避けられない、地球そのものの活動だ。地球46億年の歴史の中で地殻変動は数えきれないほどあった。日本はまさに地殻、3つプレート境界の上にあるだけでなく、日本列島のいたるところに活断層や火山帯が走っており、まさに、「地震列島」日本全体が「地震の巣」といってよいのだ。ここ30年以内に起るとされる東海、東南海、南海沖地震はじめ、何時起ってもおかしくない状況にあるとされる活断層が全国至る所にあり、ここ高島市でも危険な活断層がある。

 また、原子力発電所も、敦賀原発をはじめ全国20箇所、今回事故を起こした福島第一原発を入れて54基の原子炉が稼働している。しかも、原発のすべてが海に面して建設されており、想定外の地震や津波によって54基のすべての原発で今回のような事故が起る可能性があるということだ。

 さらに、今後起る災害は、いつ起こるかもしれない地震や津波だけではない。地球温暖化に伴う気候変動による災害が容赦なく確実にやって来るということだ。大型化する台風、竜巻、台風がもたらす高波、集中豪雨、洪水、土砂災害、干ばつ、落雷、森林火事、異常高温、異常低温、紫外線の増大、気温の上昇にともなって様々な感染症も増加する。
 温暖化対策は進んでおらず、温暖化は加速しはじめており、異常気象の頻発など気候変動は年々激しさを増していくだろうと予測されているのだ。

 まさに、明日は我が身なのである。身に危険が及ぶことは誰しもあることを自覚するべきではないだろうか。今はすでに起ってしまった、東北関東大震災と原発事故を乗り越えることだが、この未曾有の災害で示された多くの教訓から真剣に学ばなければならないと思う。
 電気(自然エネルギーによる自家発電)、食料と水、燃料(薪・炭)、生活用品、生活習慣病の予防と健康管理、住む場所、避難先、連絡通信手段と移動手段、隣近所との協力、そして、お金の管理等々、自らと家族の身の安全を確保することについて、日頃からしっかり話し合っておこうと思う。

 明日は我が身と心得え、今後、想定される地震・津波、温暖化に伴う気候変動、原発事故、そして、財政破綻など、想像をはるかに超える様々な災害と苦難に、本気で備えていかなければならないと心から思う。


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Posted by 陽ちゃん at 12:11│Comments(0)地震・災害
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