今津のオヤジのつぶやき

『大気からの警告』まさに、「ガイア」から人類に向けての警告書

2010年11月22日

 今回は、最近図書館でお借りした本の中に、心に残った一冊がありましたので、その一部を紹介したいと思います。「懐疑論」や、愚かな「温暖化はウソ論」に明快に答える一冊でもあります。

 初版が2000年4月20日ということは、10年前に書かれた本であるが、地球温暖化問題を正面から取り上げた書物で、けっして、10年前の書き物という印象はない。むしろ、10年前に読むより、10年後の今読む方がより身近に感じる。それは、地球温暖化がまさに2000年以降、21世紀に入ってからより顕著にその姿を見せ始めたからだと思う。

 それ以前、とくに1990年代までは、地球温暖化について、科学者の間でも「懐疑論」が支配的で、「ガイア学説」の提唱者イギリスの生物物理学者ジェームズ・ラブロック氏が、1960年代から「地球という生命体が、気候と大気中の化学組成を自分たちの利益になるよう調節している」という仮説を発表して以来、科学者の間で地球温暖化についての調査研究がはじまったということである。そして、科学者によるそれぞれの専門分野での調査研究を通じて、とくに、大気中で恐るべき“異変”が起きていることが徐々に明らかになってきた。フロン(CFC・クロロフルオロカーボン)がオゾン層を破壊している事実が明らかになったこと。地球に温暖な気候をもたらす“温室効果の役割”を果たしてきた二酸化炭素(CO2)の大気中の濃度が、産業革命以降上昇をはじめ、地球の気温が1970年代に入って急速に上昇しはじめたことなどだ。

 本書「大気からの警告」では、フロンの全廃を決めた1987年モントリオール議定書に始まり、1992年に「気候変動枠組み条約」が世界各国の間で結ばれ、1995年に、第1回締約国会議(COP1)がベルリンで開かれたが、「現在の条約では地球温暖化防止のためには不十分だ」として、「具体的な数値目標を定めた新たな協定を作る」ことを大きな課題として、2年後の1997年に京都で開催された、第3回締約国会議(COP3)、いわゆる「京都議定書」までの、世界各国首脳が繰り広げた激しい議論と駆け引き、科学者の間での温暖化論争などが詳細に明らかにされている。

 筆者である井田徹治氏が共同通信社の記者として、IPCC総会をはじめ、ワシントン条約締約国会議、モントリオール議定書締約国会議、気候変動枠組み条約締約国会議等、さまざまな温暖化問題に関する国際会議を通して、あらゆる角度から徹底的に取材して書きあげた力作だ。
 現役科学記者(地球科学、環境問題を担当)として、人間の良識に訴える「地球の未来」、そして、人類をはじめ地球上のすべての生物種の生命維持装置である『大気』からの警告の書だと心からそう思う。初版から10年後の今だからこそ、地球温暖化の真実を知るためにも、多くの人にぜひともに読んでいただきたい一冊だと思う。


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Posted by 陽ちゃん at 10:21│Comments(0)書籍の紹介
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