今津のオヤジのつぶやき

「国連地球生きもの会議・COP10」に思う

2010年10月21日

生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が昨日18日名古屋国際会議場で始まった。
COP10とは、「CBD・COP10」という。CBDは「生物多様性条約・ Convention on Biological Diversity 」で、COPは「締約国会議・Conference of the Parties」の略である。
第10回ということだが、その始まりは18年前の1992年にブラジル、リオ・デ・ジャネイロで開催された「国連環境開発会議」で、地球温暖化など地球環境問題を人類共通の課題として、各国が集まり議論された。この会議で、「気候変動枠組条約」とともに「生物多様性条約」が採択された。「双子の条約」とも言われ、地球温暖化による気候変動と生物多様性は切っても切れない関係ということだ。
この「会議」には、「生物多様性条約」を批准(同意)した190以上の国と地域から、8000人以上の各国政府関係者や国連関係者、NGO(非政府組織)のメンバーが参加するという。まさに、「気候変動枠組条約」と同等の会議ということになる。

この「条約」は、① 生物多様性の保全、② 生物資源の持続可能な利用、③ 遺伝資源の利用から生じる利益の公平かつ衡平(こうへい・各国にたいしてバランスよく)な分配、を目的としている。1960年代以降、人口の増加とともに人間の活動によって世界各地で環境破壊が進み、多くの生物が絶滅の危機にさらされたり、実際に絶滅したりしてきた。そこで、それをくい止め、生物多様性を守る国際ルールを作ろうというのが生物多様性条約であり、今回の会議の最大の目的である。

しかし、生物多様性と生態系保全のための資金と、遺伝資源の利用から生じる利益の分配をめぐり、早くも、遺伝資源の原産国である途上国とそれを利用し利益をえている先進国との間で対立、折り合いがつき「議定書」(合意)までこぎ着けるかどうか微妙だ。「気候変動枠組条約締約国会議・COP15」においてもそうであったが、やはり、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの削減数値目標で、「先進国」と中国など「途上国」との間で折り合いがつかなかったが、今回の「生物多様性条約締約国会議」においても実効性のある「議定書」という合意が得られないようなことになれば、事態はきわめて深刻と言わなければならないと思う。

地球温暖化に伴う気候変動と同様に生物多様性の急速な減少は、最早、一刻の猶予もないのである。足踏みしている時間はないし、ましてや、「生態系サービス」についての「利益配分」について議論している余地などないのである。
そもそも、自然から無償で提供されている遺伝資源を含むすべての「生態系サービス」は、人間だけのものではないのだ。むしろ、「生物多様性ついて考える」(9/4投稿記事を参照)でも書いたが、生物多様性と生態系においては、何千万の生物種の中のただの一種に過ぎないだけでなく、何の役割も果たしていない人間の存在意義などほとんどなく、「生態系サービス」の恩恵を奪い合うなどとんでもない話なのである。むしろ人間は、生物多様性を失わせ、絶滅の危機を招いた責任を全面的に負うとともに、無条件に直ちに、その保全と修復のために行動を起こすべき時であると言わなければならない。

「大絶滅の危機」が差し迫っているのに、もはや先進国も途上国もない、将来の世代のためにも後退や足踏みは許されない。日本は議長国として、また、先進国の一員としての責任を果たし、何としても「合意」のために全力を注ぐべきと心から思う。


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Posted by 陽ちゃん at 20:49│Comments(0)生物多様性
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